Personal story

芽生えた、経営者になる覚悟。

学生のときから努力を嫌っていた石井陽太郎は、実力不足の自分を直視したくなかったから。現実逃避を続け、自堕落な生活を過ごす日々。劣等感が募り、自己肯定感も低かった。そんなある日、防水工事業を営む父に諭され、家業を手伝うことになる。一生懸命仕事に精を出す行為そのものが初めてだが、その行動によって評価されるという感動を味わった。毎日のように現場に出ると、できる領域も広がり、やりがいを見出していった。
大きな転機は番頭（建築業界における中間管理職）が心臓発作による急死だ。悲しみに暮れるまもなく、父からマネジメント業務を命じられるも、請求書の作り方すら知らない。それでも、分からないなりに一つずつやり遂げ、自身が会社の要となる存在だと認識し始めていく。
しかし、数々の成功体験を得ていくうちに、他人への配慮が疎かになった時期もあった。「劣等感の塊だった自分ですらできたのだから、誰でもできるだろう」という誤った物差しが生まれてしまっていたのである。そうなった愚かな自分に気づき、人の気持ちに寄り添えられるよう改心する。このとき、石井は腹を括った。
彼は、株式会社日本樹脂施工を、いつかそう遠くない先に2代目として継承する。新たな時代を見据えた経営を、”超速硬化ウレタン工法”を軸に展開する。世の中から必要とされるように、雨水も、人も守っていく。